大判例

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名古屋高等裁判所 昭和28年(う)1232号 判決

職権を以て調査するに、原判決は、上谷貞子作成の告訴状及び司法警察員作成の告訴補充調書を事実認定の証拠としているが、訴訟記録を検するに、右告訴状及び告訴補充調書は、被告人においてこれを証拠とすることに同意しなかつたところ、検察官は、これについて、刑事訴訟法第三百二十三条第一号により、証拠調の請求をなし、弁護人より異議を申し立てたにも拘わらず、原審は、その取調をしたものである。しかし、刑事訴訟法第三百二十三条第一号により証拠とすることができるものは、戸籍謄本、公正証書謄本その他公務員がその職務上証明することができる事実についてその公務員の作成した書面であるから、右告訴状及び告訴補充調書は、これに該らないことが明らかである。従つて、原審がこれを右法条によつて取調をしたことは、訴訟手続に法令違背があるといわなければならない。只、原判決には、証拠として、右告訴状及び告訴補充調書の外に、原審証人上谷貞子の証言を掲記してあり、その証言中には、右告訴状及び告訴補充調書の内容を引用しているので、その証言の内容を補充するために右告訴状及び告訴補充調書を挙示したのではないかとも推察される。しかし、被告人の判示事実に関する自供を補強するものとして、被害者の供述の面から見れば、証人上谷貞子の証言だけで足りるから、前記のように不適法な証拠を掲記することは不相当であるというべきである。結局、原判決の証拠標目の記載は、右告訴状及び告訴補充調書については、甚だ不明確であり、これを独立の証拠として挙示したものとすれば、前段説示のように違法であるといわなければならない。しかし、右違法な証拠を除外するも、その余の証拠によつて、原判示事実を優に認定することができるから、判決に影響を及ぼさないことが明らかである。

(註 本件は量刑不当により破棄自判)

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